大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

法隆寺-祈りとかたち  東京藝術大学大学美術館

法隆寺展 東京芸術大学美術館

まず、開催要領から。この春、東京で開催されるメイン・イベントの一つであり、仏像ファンには関心が高かろう。

【以下は引用】
東日本大震災復興祈念・新潟県中越地震復興10年
法隆寺-祈りとかたち

会期: 2014年4月26日(土)- 6月22日(日)
午前10時 - 午後5時 (入館は午後4時30分まで)
休館日: 月曜日(4月28日、5月5日は開館)、5月7日(水)
会場: 東京藝術大学大学美術館
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2014/horyuji/horyuji_ja.htm

【引き継がれてきた仏教芸術の至宝】

 今からおよそ1400年前、奈良県・斑鳩(いかるが)の里に聖徳太子によって建立された法隆寺。古くは飛鳥時代にまでさかのぼる文化財の中から、国宝や重要文化財を含む美術・工芸品を一堂に集めた展覧会が開かれる。

 展示は、法隆寺に代々伝わる仏教芸術に始まり、古美術研究を通した東京美術学校(現・東京藝術大学)との関わり、そして法隆寺を題材にした近代美術の3部で展開される。法隆寺に伝わる仏教芸術では、伝法堂東の間の阿弥陀三尊像や、金堂内陣の天蓋を飾った天人など飛鳥・奈良時代の作品を中心に展示。太子信仰を象徴する聖徳太子の像や絵画など見どころは尽きない。特に、金堂内陣の釈迦三尊像の左右に安置されている、吉祥天立像と毘沙門天立像はいずれも国宝で、今も残る彩色が一際目を引く。

 昭和24(1949)年に失火で焼損した金堂壁画を、日本画家による模写で再現した展示や、和田英作、安田靫彦(ゆきひこ)など近代美術家が描いた法隆寺や聖徳太子にまつわる作品などを通して、時代を超えて人々を魅了してきた法隆寺の至宝と改めて向き合ってみたい。
2014年04月25日(Fri)  狩野直美
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3755

【近代美術の大家による法隆寺を主題とする絵画・彫刻なども展示】

「法隆寺-祈りとかたち」では、東日本大震災からの復興を祈念するとともに、新潟県中越地震復興10年という節目の年に、除災や国家安穏を祈って造られた金堂(国宝)の毘沙門天、吉祥天(いずれも国宝)をはじめ、法隆寺の寺宝の数々を公開する。

展示構成は「第1章 法隆寺-その美と信仰・法隆寺の仏教美術」として、毘沙門天、吉祥天をはじめ、奈良、飛鳥時代以降の優れた彫刻や絵画、色鮮やかな染織品を含む工芸など仏教美術の粋を出陳。

「第2章 法隆寺と東京美術学校」では、フェノロサや岡倉天心による明治期の調査を発端として、法隆寺所蔵の文化財保護と継承に携わってきた 東京美術学校(現・東京芸術大学)と法隆寺との深い関わりを紹介。

「第3章 法隆寺と近代日本美術」では、近代美術の大家による法隆寺を主題とする絵画・彫刻を紹介。 和田英作、安田靫彦、杉山寧をはじめ、法隆寺に魅了され、表現してきた芸術家たちの逸品が展示される。

同展覧会は巡回展で、仙台市博物館にて、2014年3月1日(土)~4月13日(日)の期間で開催中。また、新潟県立近代美術館にて2014年7月5日(土)~8月17日(日)の期間で開催予定となっている。
http://www.asobiniikoze.com/news_a4d7I7VQhE.html

まず、法隆寺を「紙上」で散策してみよう。今回の展示のと関係上も、どこに鎮座されている仏さまかを知るうえで多少は参考になると思う。

【法隆寺を歩く】
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-185.html

法隆寺は、有名な再建、非再建論があるが、近年、その研究がすすんでいる。ここも法隆寺の歴史と意義を考える大きなポイント。

【法隆寺再建の謎】
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-98.html

法隆寺と文部省(文化庁)との関係には「いわく」がある。ここも忘れてはならないことと思う。今回の出展も「東日本大震災復興祈念・新潟県中越地震復興10年」という冠のもとでの「法隆寺-祈りとかたち」展であり、仙台、東京、新潟の巡回展の一環。展示物には興味深いものもあるが、超一級どころの引越興行とはいえない。

【法隆寺金堂壁画焼失の顛末】
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-68.html


東京で開催された過去の法隆寺展と今回の特色について、以下のブログも参照。
http://blog.livedoor.jp/shokkou/archives/2064544.html

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東京藝術大学 2013年度研究報告発表展

東京芸大仏像彫刻
http://www.tokyogeidai-hozon.com/news/news.html

東京藝術大学大学院美術研究科 文化財保存学専攻/保存修復・彫刻の「研究報告発表展」に行く。若き保存修復・彫刻専攻の学生さんや研究生の作品をみて、ほんとうに素晴らしいことだと思った。たった5日間ながら1200名を超える入場者があったとのこと。小生の見学中も、多くの仏像専門家、修理の同業者(失礼!)の方々が、作品に見入ったり、コメントをしていた。一部企業の支援もおおきな支えになっているようだ。

かつて小生が高校生最後の頃だったと思うが、上野を「仏像散策」していて、ひょんなことから、文化財保存の「現場」に立ち合ったことがある。一人の親切な学生さんがいて、仏像を解体修理中だったが、「見ていてよい」ということだったので、沈黙のなか一対一でじっとその作業をながめていた。40年以上も前のことだが記憶が正しければ、小さな、実に質素(というよりもボロイ)作業場だった。それがいま、写真でみるかぎり3Gのコンピュータ解析機器はじめ、修理材料などもいかに技術進歩しているかに驚く。その一方で、伝統的な修復手法はちきんと保たれていることも感じる。やはり全身全霊をもって鑿(のみ)をふるい鑢(やすり)をあてがっている姿がそこにある。思わず、「頑張ってください!応援していますよ!」と心のうちで声をかけていた。とても清清しい「研究報告発表展」であった。


http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-376.html 【“東京藝術大学 2013年度研究報告発表展”の続きを読む】

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仏像をどう捉えるか

日本の美術159 誕生仏 

 仏像の何に惹かれるのか。それは観察者の心の「在りよう」の問題である。観察者は常に同じ思いをもって仏像に接するわけではない。ある時は喜びをもって、ある時は怒りをもって、ある時は哀しみをもって、ある時は楽しみをもって、仏像の前に立つ。この「喜怒哀楽」は、そこにおわす仏像とは関係がない。観察者の心のなかにある感情が、その仏像に投影されるだけである。

 研究家、専門家といえども、人間である以上、本来こうした感情の動きから離れて仏像を見ることはできない。しかし、彼らには職業的、専門的な知見があり、そこを立脚点として仏像を見る訓練をしている。一定の見方をもって、仏像に対峙するというのは、ある意味で生成する感情を制御するということである。その見方は、様式史や技術的解析など、つとめて「冷静」であるかも知れないが、一般人の感情を素直に解放して見ることに比して、感情をあえて殺して見るということを意味しよう。

 研究家、専門家によっては、一般人の仏像に対する感情の吐露を低くみて、こうした印象批評について否定的にとらえる向きがある。その一方、一般人からみると、時に、研究家、専門家と呼ばれる人たちが、感情の制御を解いて語る仏像論が、思いのほか形式的であったり、浅薄であったりすることに驚くということもある。もちろん、その逆もあり、さすがに深く仏像を探求してきただけのことはあると感心する場合も多い。

 日本にはほんとうに多くの優れた仏像がある。世界の宝庫といってよい歴史的な蓄積がある。それをどう捉えるか。もちろん、研究家、専門家の見方ではなく、一般人の感情をもって、である。それを考えようと思っている。

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