大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

人間の美術3  仏教の幻惑

◇人間の美術3

内容(「MARC」データベースより)

美術品を人間の生々しい歴史に還元して考察し、敢えて新しい仮説を主体的に提出した破天荒な美術全集。第3巻では飛鳥・白鳳美術の仏像に圧倒されて、熱狂的な仏教信者となっていく人々の心を探る。89~91年刊の新装版。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
上原 和  成城大学名誉教授

  特筆しておくべきは、図版の美しい見事な大型本であること。かなり濃厚な内容の本で、梅原猛監修の影響が強いと見受けられる。仏像が中心ながら、仏画も建築も、細部の工芸にも目配りし、かつ歴史的な叙述も多く、時代とともに総合的芸術を論じようとしている。クールな文献史学ではなく、主観的なアプローチも排除せず、大胆な仮説も散りばめられている。飛鳥時代を中心に論じているが、類書にくらべて、多くの紙面を小金銅仏にあてているのも好感が持てる。
  さて、その見解について。全体は上原和氏の分析に負うているので、上原本を読み、秘かに教えを乞うてきたような小生からすれば、首肯すべき点が多いはずなのだが、どこか<位相>のズレを感じる。
  なぜか?歴史を論じながら、それは「精神史」的な纏が強すぎて、人と人とのぶつかり合いや融合ーある意味で人間的な息吹が弱い気がする。人はパンのみにて生きるものにあらず。されど、パンを食さなければ生きてはいけないのも事実。本書を概観していると、この時代の、宗教的、政治的な色彩を強くクローズアップすることで、表題とは別に経済的な、社会的な「人間」観が見えてこないように感じる。それは、帰化人、渡来人との関係の記述(の弱さ)にも投影されているように思う。否、もう少し読み込んでみないと論断することはできないかな・・・。

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