大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

興福寺阿修羅像3<造像の特色>

阿修羅像4

 『NHK国宝の旅3』(1986年/日本放送協会出版会)では興福寺阿修羅像が特集されている。しかも、多角的な視点から接近しており内容豊かである。

 久野健「阿修羅像の周辺」では、脱乾漆像の造り方について、唐文化からの影響を論じ、わが国では當麻寺の四天王を先行事例として紹介したあと、その比較において阿修羅像を取り上げている。當麻寺の像例では、肩、胴、腰の部分に円板の板をおいてひずみを防いでいるのに対して、阿修羅像では、この円板が使われていないこと、「胸部から、6本の腕に心木を放射状に出していることが変わっている」(p.72)とのことである。また、「体躯から遊離した天衣や指の心には鉄心を入れ、それに麻をまきつけて、その上に漆をきせて造形している」(同)とのことである。

 また、NHK・オン・デマンド番組:国宝への旅「天平のアイドル・阿修羅 ~奈良・興福寺~」では、「興福寺には、有名な国宝の阿修羅像があります。阿修羅像を含む八部衆像と、制作に使われた脱活乾漆の技法を紹介し、天平彫刻の美とその表情の根源を探」るとあるが、ここで映像で示される当時の技術の再現には驚くとともに、額は固く、頬は柔らかく、鼻梁はすっきりと通り、眉や瞼の繊細な表現技法が可能となっていることを知ることができる。

 さて、<興福寺阿修羅像2>で記した来歴では、久野健氏は興福寺「保有説」をとっているが、その製法がユニークであれば、これは工房の違いを示唆し「移転説」の可能性に繋がらないだろうか。氏の見解にいつも注目するのは、(この分析がそうであるように)彼がX線写真による解析という独自の方法論をとっているからである。作造技術の「方法論」において異質なものがあることについて、久野氏の見解に妥当性が見いだせるのであれば、阿修羅像の源流にもまだまだ考慮すべき事項が眠っているのではないかと思う所以である。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/tb.php/101-38a26b1f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad