大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

平等院阿弥陀如来座像2

平等院阿弥陀如来4

 普通、仏像は「単体」として鑑賞してよいものである。それが、信仰の対象であろうとも、美術品としての価値を探るものであろうとも・・・

 しかし、平等院阿弥陀如来座像については、この前提が成立しない。この仏様は、鳳凰堂という堂宇と一体で設計され、鎮座し、そして鑑賞されることを予定されている。写真は、夜景ながら、そうした意味でこの仏様に接する最良なものかも知れない。

 今回、平等院に行って驚いたのは、かつてに比べてファシリティが素晴らしく充実していることである。平等院ミュージアム鳳翔館(※1)にまず足を運ぶ。
 ここで、基礎知識をたっぷりと勉強して、時間があれば、映像を楽しみながらバーチャルな空間に遊ぶこともできる。さらに、時間をかけて鳳凰堂のまわりをゆるり回遊すれば、いろいろな角度から、当時にあって最高の「仏教テーマパーク」の存在に驚くことになる(※2)。

 ここはある程度、当時の宗教環境や建築の基礎知識があったほうが、発見あって面白かろう。定朝はあきらかに一仏師を超えて、総合芸術のプロデューサーとして確かな腕をもっていたはずである。
 私の場合は、そうした時間をへて鳳凰堂内部に入った。そして阿弥陀如来に対峙する。図版では、茫洋として表情の乏しいこの大柄の仏様が、堂宇に差し込む光と影によって微妙に表情を変化させることにまず驚く。そして次にその言いしれぬ包容力に圧倒される。しかも、この空間を支配する主は、この阿弥陀如来しかいない。誰しも、一対一の私とこの主との邂逅によって、思わず合掌をする気持ちになるだろう。考えぬかれ、それを完璧に実現した異時的空間に佇む驚異がここには今もある。


※1:建築家栗生明の代表作。日本芸術院賞、日本建築学会作品選奨を受賞。仏像などの展示も秀抜。また、コンピュータグラフィックスを使用した堂内再現映像、美術工芸復元作業を収録した番組なども見ることができる。

※2:平安時代後期、天喜元年(1053)に、時の関白藤原頼通によって平等院に建立された阿弥陀堂です。華やかな藤原摂関時代をしのぶことのできるほとんど唯一の遺構として、このうえなく貴重な建築です。最も大きな特徴は池の中島に建てられていることで、あたかも極楽の宝池に浮かぶ宮殿のように、その美しい姿を水面 に映しています。
堂内の中央には金色の丈六阿弥陀如来坐像が端坐し、周囲の壁および扉には九品来迎図、阿弥陀仏の背後の壁には極楽浄土図が描かれています。そして左右の壁の上部には52体の雲中供養菩薩像が懸けられています。
現在では色あせてしまっていますが、堂内の天井や小壁は、宝相華を主とする文様で埋めつくされていましたし、柱にも、天衣を翻して舞う天人や楽を奏する天人、飛び立つ鳳凰、宝相華、唐草文様などが描かれ、これらは鮮やかに彩 色されていました。そして天蓋中央部の大型の八花鏡のほかに、天井には計66個もの銅製鏡が吊られています。鏡は夜間にはゆらゆら揺れる灯明の明かりを反射して、幻想的な世界を創り出していたはずです。
『続本朝往生伝』という平安時代の本に「極楽いぶかしくば宇治の御寺をうやまえ」という記述があります。当時の人々は鳳凰堂を地上に出現した極楽浄土ととらえていたのです。
http://www.byodoin.or.jp/tanbou-in-hououdou.html

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

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