大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

飛鳥・白鳳彫刻の魅力(3):仏教伝来

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 この課題について、比較的丹念に書いているのが<佐和>である。第1章「日本における最初の仏像」で日本書記などを引きながら平易にこの間の経緯を説明している。
 仏教伝来は、それ以前の言語、書画などのつぎに移入されるが、概ね4~5世紀に漢字が、その後それをベースとした中国思想が5~6世紀にかけて紹介され、さらに6世紀に仏像を礼拝する宗教としての仏教が伝繙されてくる(後掲の<和歌森>を参照)。
 ここで重要なのは、司馬達等ー鞍部多須奈ー鞍作止利の系譜を、主流ながらも仏教(仏像)伝来ルートの一つとしてみていく相対観だろう。
 大学生時代、朝鮮文化の日本移入の諸論文を読んだが、この時代にあって、圧倒的に帰化人(この言葉自体、問題もあるようだが)の影響が大きかったことを知って眼が開かれる思いをしたことがある。

 当時の権力闘争、政治的な状況は大変厳しく587年崇仏派と廃仏派が武力をかけて争うが、勝者の蘇我・厩戸(後の聖徳太子)が権力を簒奪したのに対して、敗者の物部氏は滅亡する。
 蘇我、厩戸は、法興寺、四天王寺、斑鳩寺などを建立し、その後も多くの仏教寺院が建設され、そこに安置される仏像も多産されていく。現存する止利仏師の作品はそのひとつである。
 さらに、蘇我氏と血縁の厩戸一門は聖徳太子の死後、後継者を巡って争い、643年厩戸一門(山背大兄王一家)は根こそぎ抹殺される。
 こうした歴史のダイナミックな展開とともにアーカイック・スマイルの仏たちが産み出されるところに乾いたもの、名状しがたい不可思議さを感じる。

 和歌森は記紀のもつ政治的な意味をクールに見て、より当時の国際情勢、国内政治の投影を大きく見る思潮の重要性を説くがそのとおりだろう。

(参考文献)
田村圓澄 『聖徳太子 斑鳩宮の争い』1964年 中公新書
和歌森太郎『日本史の虚像と実像』1974年 角川文庫
東野治之 『正倉院』      1988年 岩波新書

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

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  • 2007/08/17(金) 19:27:40 |
  • 文庫・新書がいっぱい

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