大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

大遣唐使展 2 <京都安祥寺本尊 十一面観音像>

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 第2会場でひときわ目をひく大振りな仏様が1体ある。自分は、第2会場から見だしたので、遠目で、「これがペンシルベニア博物館蔵の石の観音様かな、でも、それは2体対で薬師寺聖観音像の隣にあるはずなのに、単体だなぁ・・・」と思って近づく。違う!そこでお会いしたのが、京都安祥寺本尊の十一面観音であった。奈良時代後期の造像。最近研究がすすみ、かつ、大改修をへてのお目見えとある。このような逸品があることは専門家以外では永らく知られていなかった。

 多くの解説は不用だろう。見ることで十分に納得がいく素晴らしい仏様であり、前傾姿勢は原木の榧(カヤ)の姿を自然に「移」(写)しているという。木に全く逆らわず、木からそのまま仏様を彫り出すという仏像彫刻のセオリーどおりの作である。正面はもとより横からのお姿が良い。ここまで頭を傾いだ(お辞儀をしているような)仏様は珍しい。そして、正面から見上げた時の視線の「合致力」も一入である。全体が醸す「神々しい」としか言いようのない雰囲気がある。平安期にはない、独特の生硬さと森厳さが魅力である。

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十一面観音立像 1躯
京都・安祥寺 木造 漆箔 像高252.1cm
奈良時代(8世紀)

 京都山科の安祥寺は入唐僧、恵運が9世紀半ば頃に開基した真言密教系の寺院であるが、本像は当寺の創建期よりも古く、8世紀を降らぬ頃の制作と推定され、2メートルを超える奈良時代の木彫の大作として注目される。今回の出陳が実質上の初公開である。1945年(昭和20年)以前の調査も確認されるが、2004(平成16)年京都大学の学術調査によってその重要性が改めて認識され、その後、保存修理が行われて補修箇所が明確となり、制作当初の優れた表現が観照しやすくなっている。カヤ(榧)の一いち木造ぼくづくりで、当初は乾漆かんしつを併用した一木彫と考えられる。後補箇所は頭部の額から上と、膝以下であり、これらは後補材で補足されている。
 本像は均整のとれた、伸びやかな姿態をあらわしており、胸・腹部の肉取りも的確で、体勢もしなやかな動きを示している。これらの表現は中国・盛唐様式(8世紀前半)の影響を受けた、奈良彫刻の正統派の流れを汲むものとみられ、健康的で明朗性の高い造形感覚に満ちている。衣の皺を巧みに彫り込んだ作家の技量も優れており、かつて本像が平城京の官大寺に伝来したかと錯覚するような威風がある。奈良時代、平城京周辺ではカヤ材製の木彫が多数制作されたが、本像はこうしたカヤ材製の一木彫像が山背国にも存在したことを示しており、今回の展示を通して歴史的検討が広く行われることが期待される。
(奈良博 プレス・リリース資料より転載)

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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