大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

大遣唐使展 5 <和歌山 親王院 阿閦如来(金剛峯寺)他>

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(写真はイメージ、本展と直接関係なし)

 今回の展示中、画像とともに是非紹介したいと思った一つが、和歌山 親王院 阿閦如来(金剛峯寺)である。この銅像は、小振りで華奢な造りだが、ご尊顔の表情が実に生き生きとして、慈しみに満ちている。残念ながら、うまくネット上で映像を見つけることができなかったので、同じ金剛峯寺所蔵から、国宝 諸尊仏龕 1基をあげておきたい。こちらは別の観点から注目。そのあまりに微細な加工技術の凝縮に驚かされる。

国宝 諸尊仏龕 1基
和歌山・金剛峯寺 木造 高23.1cm 中国・唐(7~8世紀)
空海請来と伝える、携帯用小仏龕。ビャクダンの一材を3つにわけて身と左右の扉を作り、蝶番でつないで開閉可能にしている。内側には仏・菩薩など総数25体の尊像と、香炉・供養者・獅子・神々の像などが超絶的な彫技で刻出されており、この種の檀龕仏の最高傑作といえる。八角筒形に伏ふく鉢ばちを乗せたかのような外形はストゥーパ(仏塔)の形に由来する可能性が高く、8つの角の上方にパルメット文を刻みつける。
 「弘法大師請来目録」にみえる「刻白檀仏菩薩金剛等像一龕」に該当するとの見方が有力で、同書の記載を信ずるならば、密教の根本経典『金剛頂経』を唐に伝えた金剛こんごう智ち (671~741)が南天竺国からもたらし、不空(705~74)・恵果(746~805)の2人の祖師を経て空海の手に渡ったということになる。ただし実際の制作地は中国とみられ、年代も空海入唐よりかなり遡る7世紀後半~8世紀初と考えられる。彫りの深い諸尊の顔立ちなど、その作風はきわめて異国的だが、唐代併行期の西方の諸作例よりも、むしろ6世紀の中国彫刻、特に外来様式を大幅に取り込んだ作風が開花した北斉時代(6世紀後半)頃の形式を濃厚にとどめている点が注意される。幕のついた天蓋状の屋根をもつ仏龕の形、2条の陰刻線を用いた衣文の表現、頭頂が巻貝状を呈する人物(『維摩経』等にみえる「螺髻梵王」との見方が有力)などは6世紀特有の要素であり、由緒ある西方将来の古像を範として、形の継承が行われたと考えるべきであろう。
(奈良博 プレス・リリース資料から転載)
高野山霊宝館の名品。下記のうち諸尊仏龕のみが本展で見られる。

0001
国宝 諸尊仏龕 一基
金剛峯寺 中国唐時代
弘法大師空海が中国から請来されたと伝えるもので、七世紀頃の作。香木(白檀材)を三分割し、それぞれを蝶番でつなぎ、釈迦如来を中心にして諸菩薩などを細かく彫刻する。
両扉となる龕を閉じれば、携帯できるように工夫されており、枕本尊とも呼ばれている。

0002
重文 不動明王坐像 一躯
金剛峯寺 平安後期
伽藍不動堂(国宝)の元本尊で、八大童子と共に祀られていた。左目をやや細め、口元からは上下の歯牙が露出している。痩身な体躯に、膝部に見られる流麗な衣文線など、平安後期の作風が見てとれる。

0003
国宝 八大童子立像(矜羯羅童子像)一躯
(運慶作)金剛峯寺 鎌倉時代
八大童子像の内の一躯。寺伝では建久9年(1198年)運慶の 作と伝えられており、その作技などからも運慶乃至は運慶 工房で製作された可能性は極めて高い。

0004
国宝 八大童子立像(制多伽童子像)一躯
(運慶作)金剛峯寺 鎌倉時代
伽藍不動堂本尊不動明王坐像と共に祀られていた八大童子像の内の一躯。不動明王の使者としての役割を担う。その凛々しい表情は、出色の出来映えを示している。

0005
重文 大日如来坐像 一躯
金剛峯寺 平安初期
伽藍西塔の元本尊で、金剛界の大日如来である。
西塔は仁和三年(887年)に創建されたものと伝え、本像はその当初像と考えられる。高野山における数少ない平安初期像として大変貴重である。

0006
重文 不動明王坐像 一躯
正智院 平安初期
檜材の一木造。頭に載せる蓮華(頂蓮)が大きく、両目を見開き、身構える姿勢が特徴。奥行きのある体躯からは重量感が伝わる。高野山に現存する不動明王中、最も古い雄作である。平安初期の作。

0007
重文 孔雀明王像(快慶作)一躯
金剛峯寺 鎌倉時代
伽藍孔雀堂の元本尊で、後鳥羽法皇の御願により仏 師快慶が正治二年(1200年)に造立したもの。孔雀の背に乗るという絵画的な姿を、仏像彫刻として見事に完成させている。

http://www.reihokan.or.jp/about/index.html

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

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  • 2010/07/10(土) 10:49:15 |
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Re: 親王院 如来さま

> はじめまして、
> 私もこの展示で この小さい如来さまに とても惹かれました
> 全然 詳しくないんですが
> 和歌山 親王院 と 覚えていて  検索しました
> いつか見に行こうと 思ってます
> まだ、巡業中ですよね お帰りになるのは いつぐらいかご存知でしょうか?
> すごい! ブログですね。

コメント、ありがとうございます。申し訳ありませんが、いつ、親王院に「帰院」されるかどうかはわかりませんが、国立博物館預かりの場合は、所属元にはめったに帰らず、また、「短期出張」ならお寺さん聞けば親切に教えてくれると思います。本像の映像が公開されると良いですね!もっと知ってほしい秀品と思います。
なお、この仏様に惹かれたら、鶴林寺の観音立像も是非どうぞ!こちらも訪問前の事前に確認をお薦めします。

  • 2010/07/10(土) 22:35:47 |
  • URL |
  • 大和織工 #-
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  • 2010/07/12(月) 23:14:51 |
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