大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

仏像研究の系譜2 歴史的接近

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上田正昭『藤原不比等』(朝日新聞社 1986年、以下「上田1986」という)

を読む。大遣唐使展をみて、あらためて藤原一族の系譜を確認したくて手にとった。大変読みやすい本。もう少し後世のことを「人物主体」で見てみたいと思い、つづいて、

北山茂夫『大伴家持』(平凡社 1971年、以下、「北山1971」)

を読む。これがまた面白い。大伴家持は、歌人としての側面しか知らなかったが、彼は官僚中の官僚であり、天平時代を中心に当時の官吏の位階、政治闘争、生活ぶりなどが丹念に書かれていて参考になる。そこで、さらに遡って

北山茂夫『日本古代政治史の研究』(岩波書店 1959年、以下「北山1959」)

を購入する。『大伴家持』を書く原型ともいうべき労作で、

1.序説 7、8世紀の内乱の歴史的特質
2.大化の改新 ー概括的スケッチとして
3.壬申の乱
4.持統天皇論 ー藤原宮時代の政治と思想の連関において
5.740年の藤原広嗣の反乱
6.天平末葉における橘奈良麻呂の変
7.藤原恵美押勝の乱
8.道鏡をめぐる諸問題
9.藤原種継の前後

から構成されている。「北山1971」や「北山1959」から思うのは、いまさらながら、仏像研究において歴史的な背景の重要性である。このことは、いままでこのブログでも書いてきたことであるが、仏像は当時にあって最高の「知の結集」であるとともに「冨の象徴」でもあり、この時代の鎮護国家論からみても、その重要性はいまとは比較にならない。
 われわれが、いま生きる時代においては、政治と文化はある意味、異質、対立的な感じもあるけれど、上記1~9の時代にあっては、祭祀と政治は完全一体であり、都市、建築、仏像、工芸などの文物は政治的な強力なシンポルであった。だからこそ、仏像を語るにあたっても、一定の歴史的な事象への理解は不可欠であろうし、仏像研究とは切っても切れない銘文は、狭義に時代確定のための必要性のほか、広義にとらえて、その時代背景に楔をうつもっと深い意味をもっているのだとも思う。

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

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