大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

『古代人の精神世界』、『古代史の人びと』

0003.jpg

湯浅 泰雄『古代人の精神世界 』 (歴史と日本人〈1〉) (1980年)ミネルヴァ書房 (以下「湯浅1980」という)
直木 孝次郎『古代史の人びと』(1976) 吉川弘文館(以下「直木1976」)


を読む。どちらも面白い。
 「湯浅1980」では、思想史の立場から古代人(といっても飛鳥時代、仏教伝来以降が中心)の精神構造を考える。いわゆる神道(原始信仰)と仏教(とりわけ密教受容以降)の関係性がクローズアップされる。
前者を底層(下層)、後者を表層(上層)とする「二重構造」があることを指摘しつつ、しかし、それは本居宣長、その後、丸山真男らが措定したものとは異なり、独立的ではない。両者は相互に影響を及ぼし、空海を祖とする密教の体系化によって、「神仏習合」という部分融合も果たしていくといった所論である。
 この考え方で彫刻をみていくと、空海以前の両者の関係性が乏しい時期の作品に自分が価値をおいていることがわかる。すなわち貞観彫刻以前という<括り>であり、仏教的表層と神道的底層が未分化な時代の彫刻である。

 「直木1976」は、オム二バス風、いろいろな論文、論点が混在しており、ひとことでは要約はできないが、平城京の分析、および叙述の部分が見事であり、可視的な文章力をもっている。つまり、瞼に映るように書いているという感じである。相当な知識と「自信」がなければここまで書けないだろう。その一方、この人も論争的な人で、挑発的な発言も多いが、感性と思考力を刺激する、いま読んでも古さを感じない本である。
 また、書評では、井上光貞『日本古代史の諸問題』、林屋辰三郎『古代国家の解体』、北山茂夫『日本古代政治史の研究』、上田正昭『日本古代国家成立史の研究』、岸俊男『日本古代政治史研究』、吉田晶『日本古代国家成立史論ー国造制を中心としてー』を取り上げているが、この時代の研究者の層の厚さと熱意には隔世の感もある。

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/tb.php/184-a6b7c08e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad