大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

聖徳太子と空海

0002
重文 不動明王坐像 金剛峯寺 平安後期
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-160.html#more
 
 前回は、聖徳太子との関係について中大兄皇子を取り上げましたが、空海についてはどうですか?

 聖徳太子と空海ってなにか関係あるのですか?

 聖徳太子が推古天皇の摂政になったのが593年といわれますが(日本書紀)、太子は6世紀末から7世紀はじめに活躍した人ですね。空海が唐から帰国して真言宗を伝えたとされるのが806年です(興福寺略年代記)。空海の活動期は8世紀末から9世紀初頭です。この二人はちょうど2世紀の時空を超えています。

 もしかして、空海はとても偉い人だから聖徳太子の生まれ変わりだったりして・・・という伝説だとワクワクしますね。聖徳「太子」と弘法「大師」、ここも似ていますね!

 真言宗には、弘法大師は聖徳太子の化身という伝説があるようですよ(※1)。
それはさておき、聖徳太子の時代から仏教が本格的に受容され、そののち、奈良時代は鎮護国家論から南都六宗が一世を風靡します。しかし、おそらくは旧態とした寺院勢力について、時の政権は徐々にうとましく思い、また、寺院の建立、維持や増加する僧侶などの生活には莫大なお金もかかったのでしょう。平安遷都は、こうした南都勢力からの<脱却>であったと思います。
 そこで、最澄、空海が彗星のごとく現れます。のちには変わりますが、当初の両巨頭の主張は、都(王都)に鎮座する華美な南都仏教とは一線を画した「山嶽仏教」でした。平安京の為政者は、この新風をとても喜んだと思います(※2)。

 それで、どうして聖徳太子と空海がよく比較されるのでしょうか?

 だからさ、さんが解説してくれているだろ。日本の仏教の歴史のなかで、聖徳太子が種を蒔いた仏教の揺籃期の2世紀後にだ、大きな変化としての空海、最澄らの「密教の時代」が来たからじゃないか。

 (涙声で)そんなに怖い顔して言わなくともよいと思いますけど・・・

 御免なさい。私の言葉たらずだったと思います。いつもお話ししている彫刻の歴史もここで大きく変わります。密教展開以降の平安彫刻は、たとえば教王護国寺(東寺)の諸仏ですが、両界曼荼羅や如来、菩薩以外のいわゆる眷属などの彫刻が飛躍的にふえていきますね。不動明王などはその典型ですね。空海が大和国久米寺において「大日経」をひもとくまでは、日本では誰も不動尊の名を知らなかったと言われています(※3)。
 「大日経」「金剛頂経」はじめ、曼荼羅や密教の儀礼、大日如来の台頭や不動明王への関心など空海が招来した真言密教は当時にあって、その衝撃は大きかったと思います。しかも、最澄には反発した南都六宗に対しても、空海は協調関係もつくっています。

 そう言ってくれれば私にもよくわかります。さんのように、なんでも頭ごなしの言い方はひどいです。もっと空海さんのような広いこころをもってはいかがですか。きょうは、いつも優しいさんもいないし・・・

 いまさんは夏休みでアメリカに一時帰国しています。そういえば最近、華厳経を読んでいると言っていましたよ。彼は、少し前ですが、聖徳太子が書いた(編纂した)といわれる法華経・勝鬘経・維摩経の三経義疏も読んでいらっしゃいましたね。
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-38.html

 閃いたぞ!聖徳太子から空海までちょうど200年、さらに200年たって11世紀初頭、藤原道長がでてくるな。定朝の時代の幕開けだな。さらに200年、鎌倉幕府の時代、運慶、快慶ら慶派の最盛期だ。日本彫刻史において、ちょうど200年周期説が成り立つんじゃないか。これって大発見かも知れんな!

 (クールに)それって年表をみれば誰でもわかることではないですか・・・!? 


(備考)
※1:田村圓澄『聖徳太子 斑鳩宮の争い』1969年(第5版) 中央公論社 p.174
※2:和歌森太郎編書『弘法大師空海 密教と日本人』1973年 雄渾社 参照
※3:渡辺照宏『不動明王』1975年 朝日選書 p.44

 聖徳太子と空海ーこの2人の比較論は数多い。たとえば松岡正剛氏は、次のような指摘をしている。以下は引用。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0750.html
空海 『三教指帰・性霊集』 (日本古典文学大系第71巻) 1965 岩波書店
ー『三教指帰』は日本最初の「無常の思想」の表明をなしとげた。「無常の賦」という漢詩も挿入されている。これは聖徳太子の「世間虚仮・唯仏是真」につづく表明である。日本仏教がつねにこうした「無常」を媒介にして転換していったこと、すでに太子と大師において実験済みだったのである。ー

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/tb.php/194-590a22ac
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad