大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

天平彫刻の魅力(2):脱活乾漆造

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今日は天平時代の彫刻について教えてもらえますか?

わたくし、全く自信がありません。前回、思いつくまま申し上げて先生からきつく怒られましたから。今日は黙っています。

そんなこと言わないで・・・。それに、先生は不在ですよ!
そのかわりに見慣れない人が一人いますが・・・。ぼくの疑問はなんで天平時代に乾漆像があんなに造られたのかな、ということです。

わしゃ、まったくの門外漢だが、金銅仏の鋳造技術がそれまでにあって、その応用として乾漆造がもちいられたんじゃないかな。なにしろ金属はめっぽう値段が高いし熱加工も難しい。その点、乾漆造は手間はえらくかかるが銅よりは安かったんではないかな。

まず、金銅仏は土で原型をつくり、そのうえに蝋をかけます。その蝋のうえに彫刻を行い、さらに土をかけて焼き入れをします。蝋が溶けてできた空洞部分を鋳型として、これに溶融した青銅を流し入れます。冷却後、外側と内側の土を除き現れた像の表面を鑿などで整えたうえ鍍金をします。小金銅仏といえどもとても高価ですね。
 乾漆造には2種類あって、①脱活乾漆造は、木組みをし、それに粘土をのせ、さらに麻布を厚く重ねます。それを原型としてこのうえに漆をかけ彫刻します。乾燥後、なかを空洞として補強の意味で新たな木組みを行います。②木心乾漆造は、木造で外形をつくり、これに麻布を重ねて同様に漆をのせます。①は内部を抜いた中空ですから重量は軽く、②は木心が残りますから重い一方、漆の量は①は多く使用しますが②は少なくて済みます。①は天平時代に多くつくられますが、その後は②にうつり、さらに漆を使わない木造へと部材がかわっていきます。あまり正確ではないかも知れませんが概ね、こんな感じではないでしょうか。
 問題は漆です。漆の値段も高騰し当時はとても大変だったようですよ。①→②への造像法の変化の一因も高価な漆の入手が難しかったからとも言われています。

なるほど。ところで、乾漆造の作品としては①では、
<東大寺法華堂(三月堂)>不空羂索観音立像、梵天・帝釈天立像、四天王立像、金剛力士・密迹力士立像、<唐招提寺金堂>本尊盧舎那仏坐像、<唐招提寺>鑑真和上坐像、<当麻寺>四天王立像、<興福寺>八部衆立像(阿修羅像含む)、<興福寺>十大弟子立像、<葛井寺(大阪)>千手観音坐像などがあり、②では、
<唐招提寺金堂>千手観音立像、薬師如来立像、<聖林寺(奈良)>十一面観音立像、<観音寺(京都)>十一面観音立像、<興福寺北円堂>四天王立像などがあると書いてあるけれど(『ウィキペディア(Wikipedia)』参照)、どうしてこんなに秀作が多く残ったのでしょうか。

これは聞いた話だが、脱活乾漆造だと図体は大きくとも軽いから人力で運べる。興福寺などは何度も戦禍や火災にあっているが、大切な仏様を守ろうと坊さんがその都度運び出したようだよ。八部衆立像など池に投げ入れて火災の難をのがれたと昔聞いたことがある。

それ本当ですか? でも、いま見ても脱活乾漆造の仏像は素晴らしいですね。どうしてその後廃れてしまったのかな?

木造の技法がどんどん盛んになって、手間のかかる脱活乾漆造でつくる必要がなくなったんではないかな。また、阿弥陀信仰や薬師信仰などが盛んになるにつれ、脇侍、眷属をふくめて大量生産が求められ、仏所、工房はクライアントたる施主との関係でも、てんてこ舞いで、ぎりぎりまで合理化して対応せざるを得なかったんじゃないか。日本の製造業の原点は実はここにあるかも知れないな!そういえば、寄木造りなんかは、いまから考えれば仏像の「ツーバイフォー」みたいなもんだな、ハハハ!

貴男の言うことはどうも(眉唾というか)荒っぽいですね・・・。

でも、各寺院の記録をみても、もちろん失われてしまった本当に多くの仏様がいます。ですから、たまたま天平時代につくられ、いま、わたしたちの前におあす仏様は本当に貴重な存在です。

そうなんですね!リストを見ても場所、寺院はとても限られていますね。いまあるものから考えてしまうから、「多くある」という推論になっていく。失われたものとの相対関係で考えないと、そこが間違いかも知れないな。

そうそう。反省は大事だね。仏像好きの一人としてのアドバイスだが、人の意見を良く聞いて、もっと広くモノを見て考えないと駄目だよ。

すいません。貴男にだけは言われたくないのですが・・。

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