大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

日本彫刻史論ー様式の史的展開ー

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中野忠明『日本彫刻史論ー様式の史的展開』木耳社1978年

課題図書は読んできましたか?

(無言・・・)

是非、皆さんのご意見を聞きたいなあ・・・。

面白い本ですね。筆者の名前ははじめて聞きましたが、かなりユニークな意見ではないのですか。明治37年生まれで、出版したのが昭和53年ですから相当、ご高齢の上梓ですね。あと、この方はいわゆる在野の研究者ですか?

第1章の「仏像の美」を読みましたがよくわかりませんでした。難しい言葉が多くて・・・。

(無言・・・)

ウーン!!さんはいつもきまって「面白いですね・・・」ですが、どこに関心をもったのですか?さんは第1章しか読んでいないのですか?ほかの章はもっと読みやすいでしょ。さんは今日は大人しいね、どうしたの。様式論からみた感想を是非言って下さい。

とてもユニークな見解が多いと思いました。特に、各時代に様式の成立、完成、衰頽・転移があると言い、これを前期、中期、後期にわけて考えていますがキチッとしないと気が済まない方なんですね。
 あと、それとは別に、運慶の無著菩薩像をデューラーの4人の使徒と比較していることも面白いなあと思います。既成の概念にとらわれない発想ですね。

ほかの章ですかあ・・・。時間がなかったので。そうですね、白鳳彫刻はなかったとか書いてありました。

それは違うでしょう。白鳳時代だけを単独で取り上げるのはどうかという見解だったのでは。奈良彫刻の「前期」ととらえて、それを白鳳期と呼ぶことは排除せず、といった記述ですね。

飛鳥時代は「抽象的造型」の時代ととらえ、奈良時代の彫刻はこれに対して「彫刻的具象性」の展開と見ます。その際に、白鳳と貞観のそれぞれの時代設定に疑問符をつけていますが、それはほかの方でもそうした意見はあったと思います。平安時代の彫刻は密教の影響からこれが「絵画的な展開」に変わったと考え、そのうえで藤原時代を「和様彫刻の完成」期としています。これ以降は「世俗的芸術」への推移ととらえ運慶などの慶派を日本におけるルネッサンス的な復興という考え方をとる立場には批判的です。また、鎌倉中期以降は宋風彫刻についての考察も行っています。さらに、山岳信仰との関係を問題提起してナタボリ彫刻についても記述しますが、これは久野健さんの地方仏の研究成果も踏まえておられます。

装飾性との関係はどうですか。

規準作だけではなく後背なども含めて装飾的な意匠でも各時代で比較する視点を提起されています。また、その延長線でもあるのでしょうが、密教芸術では、暗い密室において火を焚いた呪術的な儀式を行うこととの関係をクローズ・アップして「光と影」の空間構成論を展開されています。

よく勉強しているじゃないか。さん、貴男は様式論よりも個別の仏像に関心があるのでしたね。その点ではどうですか。

はじめにインド・グプタ朝の釈迦如来像から説き起こし、ギリシア彫刻(アーカイック・スマイル)、中国随代の彫刻、敦煌石窟寺の群像彫刻、中国天竜山の晩唐仏像、中国麦積山の宋代仁王像や木彫仏などを取り上げていますが、海外との比較の視点がユニークですね。それに日本の仏像では地方仏も多く見ていますね。そうした点でも類書とは違った面白さがあると思いました。先生はどうですか。

皆さんの要約にあったようにこの本は独自の見解が多いが、わたしは地味ながら考えぬかれた論稿と思う。気になるのは、時代区分と様式論について、ア・プリオリに発展仮説をもっていることで、これが特色でもあるのだが、あまりに機械的に適用しようとすることから自縄自縛になっている気もする。
 その一方、東洋全体のなかで日本の仏像を考えようとする視点は、大変重要だと思う。

様式論についてはどうですか。

そこは規準作を特定して時代別に相対比較するという点で、伝統的な方法論に準拠しているね。ただ、鎌倉彫刻、とりわけ慶派の評価については個人的には異論もある。
 いずれにしても、こうした優れた研究者がいたことはしっかりと記憶にとどめる必要があるし、実はこのほかにも埋もれた逸材は多いということにもっと眼をひらくべきだろう。

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

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  • 2007/09/07(金) 15:03:59 |
  • 彫刻を攻める

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