大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

関東、最高レベルの薬師如来坐像!

桑原薬師堂2

 上記は函南町桑原所在の薬師如来坐像である。この秀逸なる仏さまの存在を教えていただいた静岡県立静岡がんセンター山口建総長からのご好意で、下記のブログを書いて以降、「静岡県函南町 薬師堂仏像群への誘いー函南町桑原ー」(1993年 函南町教育委員会、非売品)を頂戴した。以下は、この薬師像についての記述を転載する。

「木造薬師如来坐像
像高110センチ、一木矧造といって、頭体部を檜材の縦目に沿って前後に割離し、中をくり抜いてから、再び割れ目をはぎ合わせて彫刻する技法をとっています。
 堂々とした体躯や貴族的で穏やかな顔つきは平安時代中期(藤原時代)の特色です。この像の作者はわかりませんが、中央(京都)の仏師の系統を引くものの制作でしょう。(中略)
 『箱根山縁起』によりますと、弘仁8(817)年桑原に新光寺を建立したとありますので、新光寺の本尊だったのでしょう。寺の跡と伝えられる桑原・柿生土周辺からは、布目瓦が採取されたり、平清寺(新光寺の子院)の銘が入った版木も付近の民家から発見されています」(p.21)


平等院阿弥陀如来2

桑原薬師4

  天下の秀作、定朝現存唯一の確定作、平等院阿弥陀如来坐像と上下の画像で比較しても、その尊顔の高貴さでは引けをとらないようにさえ思う。しかし、かたや大仏師定朝、こなた無名の地方所在仏の由来の違いは「評価」をわけている。かたや国宝、こなた静岡県有形文化財。専門家のあいだでは「格」が違う、ということになる。

(平等院アンソロジー)
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-228.html
(平等院阿弥陀如来坐像について)
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-104.html

 もうひとつは後補の影響か。本作はいまみるかぎり見事に整い、美しい木肌をもっている。しかし、本作同様、地元の方々がながらく守ってきた実慶作、阿弥陀如来三尊像(重要文化財、下の画像)は江戸時代に相当な修復の手が入っているようだ。本作にも後補があるとすると、それが重要文化財にもみなされない一因なのかも知れない

20111219-3.jpg

(実慶について)
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-280.html

  自分はいまそこにおあす仏さまから直接受ける<パルス>をなによりも重視する。この薬師如来坐像の静謐な存在感には強い衝撃をうけた。そこにはランクも後補も関係はない。有難き稀有な尊厳を感ぜずにはおかない。

桑原薬師3

 さて、新たにオープンする仏の里美術館の設計は栗生明氏。平等院宝物館鳳翔堂の設計も氏の作品ということで大いに展示には期待がもてる。また、美術館自体、優れたホームページを公開しているので、解説、画像ともに以下を参照。本像も上記画像のように多角的に拝観が可能となるという。まちがいなく関東に最高レベルの薬師如来坐像ありということで大きな話題となろう。

(栗生明氏について)
http://www.com-et.com/colonne/002/kuryu/kuryu.htm
(平等院宝物館鳳翔堂 訪問記)
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-105.html
(仏の里美術館 HP)
http://www.kannami-museum.jp/index.html

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

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