
運び出す作業の前に仏像を確認する瀬谷貴之学芸員(左)と岩崎宥昶住職=諏訪市四賀の仏法紹隆寺
「運慶作」見極めへ/諏訪の不動明王像 2012年09月10日
【以下は引用】
諏訪市四賀の仏法紹隆寺が所蔵する、鎌倉時代の名仏師、運慶の作と伝えられる木彫仏像「不動明王像」が10日、10月に神奈川県鎌倉市の鎌倉国宝館で開かれる特別展への出展のため運び出された。特別展は「武家の古都鎌倉」の世界文化遺産登録を目指す神奈川県の行事で、県立歴史博物館、鎌倉国宝館、県立金沢文庫の3館共同企画。不動明王像は、運慶作の仏像と並んで展示されるとともに、比較調査され、運慶の作かどうかが見極められる。
不動明王像は、15年ほど前、文化庁の主任調査員だった故松島健さんが調査して「運慶の作」と発表、注目された。写実的な作風が、他の運慶作仏像と共通しているほか、X線写真で、運慶の仏像に多い、体の内部に仏像の魂とされる心月輪(しん・がち・りん)と呼ばれる円盤が、あることが分かった。
金沢文庫の瀬谷貴之学芸員によると、「紹隆寺は、鎌倉幕府の有力御家人であった諏訪氏ゆかりの寺だけに、幕府のために仏像を作った運慶の作があってもおかしくない。可能性は大きい」という。
不動明王像は、特別展にさきがけ、金沢文庫に運ばれ、2007年に運慶作と断定された「大威徳明王像」(横浜市の称名寺光明院蔵)と比較調査され、最新のX線調査なども施される予定だ。
特別展への出展について瀬谷学芸員は「鎌倉の武家文化紹介のために、門外不出だった諏訪氏ゆかりの不動明王像のお出ましをお願いした」。
岩崎宥昶(ゆう・しょう)住職は「寺に伝わる仏像の由来が明らかになれば、と今から楽しみ」と比較調査に期待している。
鶴岡八幡宮内の鎌倉国宝館での特別展「古都鎌倉と武家文化」は10月20日から12月2日まで。横浜市金沢区の県立金沢文庫での特別公開は9月29日から10月8日まで。(三浦亘)
http://mytown.asahi.com/nagano/news.php?k_id=21000001209100001