大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

近江路の神と仏4  三井記念美術館 吉祥天立像と女神坐像ほか

近江路の神と仏2
(円城寺 吉祥天立像 鎌倉時代 重文)

 写実的ともいえる素朴な美しさをたたえた円城寺吉祥天立像は鎌倉時代の作である。全体のプロポーションも自然かつふくよかな量感があり、宋風の衣服はやや形式的だが、遠くでながめても近くで拝顔してもすぐれた造形感覚がよくわかる。神仏習合の影響もあろうが人間を写したような吉祥天さまである。あまりに時代がはやいが、将来の「仏像」から「人形」への転化のハシリをここに見ることもできそうな気がした。

近江路の神と仏1
(建部大社 女神坐像 平安時代12C頃 重文)

 うってかわって、こちらは神道彫刻。男神、女神のうち後者の坐像である。建部大社(大津市)は近江一宮の神社で、主祭神は日本武尊。そこからこの女神は、日本武尊の后の布多遅比売(ふたじひめ)に比定する見方もあるようだ。仏像、神像には珍しい(斬新な)このポーズがうけて人気の展示となっており、3体の像の前で多くの女性たちがまさに親近感をもって食い入るように見ていた。下膨れの丸顔で切れ長の目元、鼻先の破損も愛嬌を感じ、長髪を中央から別けて口元にそっと手をかずす。これぞ平安美人の佇まい。上とのアナロジーでは、こちらは「神像」から「こけし」への転化のハシリではないかと思った。楽しい2体だがいずれも堂々たる重文。

(補論)

近江路の神と仏4
(葛川明王院 千手観音立像 平安時代 重文)
 
  さて、今次展のガイドブックの表紙(カヴァー)を飾るのみならず、いろいろなPRの場に登場しているのがこの葛川明王院千手観音立像ほかの諸仏である。しかし、自分もかつてこの足で湖東地区を回って驚いたが、近江にはそれこそ超一級の仏さまが各所で文字通りひしめきあっている。本像も優れものだが近江全体では関脇クラスかな・・・(失礼!)。大関、横綱級はほかにありという気がする。さらに、「秘仏開帳」には俗人ゆえにいつも心動くが、それが大関、横綱級かと言われればかならずしも一致しないことも自明。今回の彫刻展示は玄人好みの粒ぞろいとは思う。しかし、小生のなかでの大関、横綱級の価値観に照らしてみると残念ながら期待したほどではなかった。それくらい十一面観音を代表格に近江の集積は凄い!とでも言っておこうか。
 そうしたなかで思わぬ発見もあった。像高7.8㎝のミニチュアのような厨子入阿弥陀如来立像 鎌倉時代 浄厳院である。この巧緻をきわめた銀造彫刻のご尊顔の輝きには魅了された。


厨子入阿弥陀如来立像 鎌倉時代 浄厳院
(厨子入阿弥陀如来立像 鎌倉時代 浄厳院 重文)

http://www2.ocn.ne.jp/~biwa-bun/sub_oumi2/009.html
建部大社女神

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

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