大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

醍醐寺 大日如来坐像

醍醐寺大日如来

醍醐寺大日如来2

 醍醐寺は大寺であり豪勢な寺である。建築、庭園、史跡など見所が多い。じっくりと回ればゆうに半日以上はかかろう。そのなかにあって彫刻、すなわち仏像は以下のような集積はあっても、全体としてはなお控えめな存在である。

【国宝】
彫刻木造薬師如来及両脇侍像(旧上醍醐薬師堂安置)
【重文】
彫刻木造薬師如来及両脇侍像(金堂安置)
銅造阿弥陀如来坐像
木造阿弥陀如来坐像
木造聖観音立像
木造千手観音立像
木造如意輪観音坐像
木造地蔵菩薩立像
木造弥勒菩薩坐像 快慶作(三宝院本堂安置)
木造閻魔天像
木造吉祥天立像
木造金剛力士立像(所在西大門) - 1134年造立
木造帝釈天騎象像
木造五大明王像(旧三宝院護摩堂安置)
木造不動明王坐像 快慶作
木造不動明王坐像
木造五大明王像(上醍醐五大堂安置)[2]
木造理源大師坐像(開山堂安置)
(次のHPを参照)

http://www.daigoji.or.jp/

 その醍醐寺が奈良にやってくる。奈良博の夏場から初秋(晩夏)[平成26年7月19日(土)~9月15日(月・祝)]にかけてのメイン・イベントは醍醐寺展(「国宝醍醐寺のすべて―密教のほとけと聖教―」)である。大きな話題となろう。
http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2014toku/daigoji/daigoji.pdf

 奈良博HPは、醍醐寺のプロフィールを簡潔にまとめている。以下は引用。

「醍醐寺の歴史は、貞観16年(874)理源大師聖宝(りげんだいししょうぼう)が京都山科の笠取山山上に准胝・如意輪の両観音像を安置したことに始まります。以来、真言宗小野流の中心寺院として発展してきました。
 醍醐寺は、奈良とも深い関わりを持っています。聖宝は若き日に東大寺で修学を重ね、鎌倉時代初めに東大寺再興の指揮をとった大勧進重源(ちょうげん)は、醍醐寺の出身でした。さらに、吉野を拠点として活動した修験道当山派は、大峯修行を再興したとされる聖宝を祖と仰ぎ、醍醐寺三宝院門跡(さんぽういんもんぜき)が当山派の棟梁となります。
 こうした長きにわたる醍醐寺の歴史は、修法の記録や研究の成果である聖教(しょうぎょう)、権力者との遣り取りを記す古文書によって、詳細に知ることが出来ます。膨大な文書・聖教群が、数百年の時を超えて維持されてきた背景には、僧侶による並々ならぬ努力がありました。このたび、平成25年に69378点に及ぶ醍醐寺文書聖教が国宝に指定されたことを記念し、醍醐寺の歴史と美術をたどる特別展を開催致します」。 
http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2014toku/daigoji/daigoji_index.html

 さて、(以上の基礎知識をふまえて)上記写真をご覧いただきたい。国宝でも重文でもない平安時代の大日如来坐像(金剛界)である。いささか整いすぎた感はあるが、おそらく江戸時代の修理(記録あり)の精緻さゆえであり、原型がうしなわれた(古色をほどこすなど手が入りすぎた?)という判断からか文化財としては「無冠」の扱いとなっている。

 しかし、醍醐寺のそれ以外の仏さま(上記国宝、重文)と比較しても、一観察者として、この仏さまの品位と美形はなかなかに際立っていると思う。同じく無冠の如意輪観音様(下記)もおあすのだが、こちらは類似作も多数あれど、この大日如来坐像は平安時代の作品のなかでも一頭、群をぬいていると感じた。

 形の優劣ではなく、文献考証などが確定され(歴史的由来正しく)、後補の影響が軽微であれば国宝、重文の指定がなされ、小生のような俗人が実に良きお姿と感じても、それを評価する術はもちろんない。しかし、それをおかしいというつもりはなく、自身の好きな仏さまをみつけるのに、国宝、重文の「権威」は必ずしもいらないと考えよう。運慶のかの円成寺大日像以前に鑿がうたれ、江戸時代の仏師が修理に丹精をこめた最優品のひとつ、それで良いと思う。

 拝観期間は限定ながらいまは「醍醐の春」。秀吉が晩年に愛でた醍醐の桜は現在も約800本。花見のつれづれに幸い霊宝館仏像棟にて、お側近くで凝視できる格好な公開シーズンである。

(参考)醍醐寺如意輪観音・・・これも同じく「無冠」
醍醐寺如意輪観音

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

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