大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

『道教―その行動と思想』 (1971年) (日本人の行動と思想〈10〉 下出 積与 (著)

飛鳥大仏images

  日本では、道教の流れがよく生きているのは「修験道」ではないでしょうか。山岳信仰とも結びつき、山の民を支える共同規範でもあると思います。

  役 小角(えんのおづぬ)の世界だな。

  道教は大陸の民間信仰に起源があり、巫祝(ふしゅく )や陰陽五行説、識緯(しんい)説などの系譜があり、道家、神仙説などに展開していきます。こうした流れが、山岳信仰と結びつくと、日本独自の修験道となり、そのもっとも有名なリーダーこそが役小角、その人です。

◆神護寺薬師如来立像 再考
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-186.html

  「修験道」が古神道の一つである神奈備や磐座という山岳信仰と関係がある一方で、「陰陽道」や「風水」も道教との関係が深いですね。

  知ってるぞ。安倍晴明の活躍だ。京都の安倍晴明神社にはいまも若い女性がよく行くな。

  道教は、国教としての仏教に押されて、いわば山岳にその生息の場を求めていくような感じもあります。その一方で、識緯(しんい)説の「識」は正式には「纖」と表記し、これは「日食、月食、地震などの天変地異を予言したり、未来のことを記した、要するに予言書のこと」(books.google.co.jp/books?isbn=4881465066)とも言われます。つまり今風にいえば天文学と地理学でしょうか。それは、「陰陽道」として純化され、皇族や平安貴族の日常を支配します。そのテクノクラートとして陰陽師が重用されますが、安倍晴明はその代表選手です。

◆7人の異界人列伝(役小角~帝都物語まで)
http://www.amazon.co.jp/%EF%BC%97%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%95%B0%E7%95%8C%E4%BA%BA%E5%88%97%E4%BC%9D%EF%BC%88%E5%BD%B9%E5%B0%8F%E8%A7%92%E3%80%9C%E5%B8%9D%E9%83%BD%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%BE%E3%81%A7%EF%BC%89/lm/R30H44NH4UG434

  ところで、道教と道家は本来は別のものですよね。道家といえば老荘思想でしょう。

  孔子、孟子をあわせて孔孟思想、老子、荘子をあわせて老荘思想。前者は儒教と結びつき支配者の原理となり、後者は道教に取り入れられて民衆に歓迎される。しかし、それゆえにときに低く見られて軽んじられ、ときに支配者から弾圧の対象にもなった。そんな感じじゃないか。

  下出積与先生は、道教を4部門にわけて、哲学的部門、倫理的部門、医術的部門、方術的部門としておられます。老荘思想は、このうち哲学的部門、倫理的部門のバックボーンになったり、また学派によっては差別化の対象になったりしているようです。
 道教が、医術的部門、方術的部門を有し、実はこれが民間信仰の強い支持をえていたことが重要ではないかと思います。方術的部門とは吉凶の予言、星占いやまじない、いろいろな禁忌などをいうとのことですが、ここが陰陽五行説を応用して「風水」の根幹になっていくということでしょうか。

  「風水」を道教のなかでのみ見ていくことでよいのかなあ。国都づくりこそ「風水」のひとつの本質で、日本でも平城京や平安京、江戸幕府開府にあたっての江戸の町づくりなどをみると、仏教的な要素も巧みに取り入れており、いわば当時の都市計画、土木、建築の基礎理論と言ってもいい部分もありますね。

◆大遣唐使展 7 <風水思想と平城京>
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-164.html

  首都をつくるということは、時の権力の象徴であり、もっとも主要な国事だから、あらゆる知識が投入されたということだろう。道教が淵源のもの(四神相応)もあり、仏教的にみた鎮護国家論もあり、官僚統治のために儒教も当然、さまざまに応用されている。

  道教にも複雑な体系があり、常世神、常世国、神仙論などは神秘主義的です。その一方、医術の部分は実利的で、医、針、按摩、薬の調合(漢方)など多様な展開もあります。さらに、庚申信仰なども道教との関係が深い良く知られた行事です。庚申堂、庚申塔、庚申塚はいったいどれくらい日本にあるのかしら、また、そこで営まれる庚申講、庚申待ちといった行事や組織はいまも形をかえてはいるものの引き継がれているのではないでしょうか。

  そういえば房中術、仙女伝説なんかも道教系じゃないかな。なんといっても不老不死こそ究極の憧れだからなあ。

  仏像を考えるうえでも、道教の知識は必須ですね。習合思想(神仏習合論)についても是非、そのうち議論しましょう。


(参考)空海論
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-261.html

http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-63.html

https://twitter.com/Cmla_12/status/389770534398865409/photo/1

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B8%E8%96%AC%E5%AF%AE

テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

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