大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

特別展「みちのくの仏像」  見どころ

日本の美術221 みちのくの仏像 

みちのくの仏像 1
特別展「みちのくの仏像」
東博本館 特別5室 2015年1月14日(水) ~ 2015年4月5日(日)


<作品リスト>
No.   作品名称        員数  時代・世紀      所蔵
1 聖観音菩薩立像 重文   1軀  平安時代・11世紀  岩手・天台寺
2 如来立像       1軀 平安時代・11世紀 岩手・天台寺
3 千手観音菩薩立像 重文 1軀 平安時代・10世紀 山形・吉祥院
4 菩薩立像(伝薬師如来) 1軀 平安時代・11世紀 山形・吉祥院
5 菩薩立像(伝阿弥陀如来) 1軀 平安時代・11世紀 山形・吉祥院
6 薬師如来坐像 重文 1軀 平安時代・9世紀 宮城・双林寺
7 二天立像(持国天・増長天)重文 2軀 平安時代・9世紀 宮城・双林寺
8 薬師如来坐像および両脇侍立像 国宝 3軀 平安時代・9世紀 福島・勝常寺
9 薬師如来坐像重文 1軀 平安時代・貞観4年(862) 岩手・黒石寺
10 日光菩薩立像・月光菩薩立像 2軀 平安時代・12世紀 岩手・黒石寺
11 聖観音菩薩立像 1軀 平安時代・10世紀 秋田・小沼神社
12 伝吉祥天立像重文 1軀 平安時代・9世紀 岩手・成島毘沙門堂
13 訶梨帝母坐像 1軀 平安時代・12世紀 岩手・毛越寺
14 女神坐像 1軀 鎌倉時代・12~13世紀 青森・恵光院
15 十二神将立像(丑神・寅神・卯神・酉神)重文 4軀 鎌倉時代・13世紀 山形・本山慈恩寺
16 十一面観音菩薩立像重文 1軀 鎌倉時代・14世紀 宮城・給分浜観音堂
17 地蔵菩薩立像 円空作 1軀 江戸時代・17世紀 青森・西福寺
18 釈迦如来立像 円空作 1軀 江戸時代・17世紀 青森・常楽寺
19 十一面観音菩薩立像 円空作 1軀 江戸時代・17世紀 秋田・龍泉寺

http://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=4216

◆映像を含め以下がもっとも参照になる
http://www.museum.or.jp/modules/topics/?action=view&id=579

みちのくの仏像 天台寺 菩薩2

  はじめ良ければすべて良し。お出迎えいただくのは、岩手・天台寺の聖観音菩薩立像(重文、平安時代・11世紀)。ここで足が止まる。典型的な鉈彫(なたぼり)の横縞が衣文はじめ体躯にほどこされている。今日ではとてもモダンにも見える意匠が訪問者を魅了するだろう。周到に整えられたご尊顔の崇高さと木綿の普段着を羽織ったような庶民的なお姿、その印象の乖離に一抹の戸惑いも伴って・・・と付言してもいいかも知れない。

  私が、この仏さまに関心をもったのは、久野健『仏像の旅―辺境の古仏』 芸艸堂 1975年)を読んで以来である。はじめて久野健氏が天台寺を調査した時の模様が本書では生き生きと書かれている。当時、盛岡から半日がかりで、電車とバスを乗り継いで、はたしてご住職がその日いるかどうかもわからない茅屋ともいえる寺院を訪れる。そこで、一体毎、堂宇から仏さまを表に出して検分する。そして、この名品に出会う下りが活写されている。
 その後、当寺は文化人からも注目され、また、身近に行ける交通アクセスも整備されて、いまや東北の名刹として有名になっている。他にも東北の仏さまを多く紹介した久野健氏の功績、大なるものがある。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%8F%B0%E5%AF%BA

みちのくの仏像 常楽寺 釈迦

 展覧会の最後のコーナーに3体の円空作の立像がおかれる。いずれも厚さ15㎝くらいの木彫の仏さまだが、その1体が、釈迦如来立像(江戸時代・17世紀 青森・常楽寺蔵)である。東北の厳しい寒さに首をすぼめて佇むようなお姿が、見るものとの距離感を一挙に縮めてくれるようだ。いつもながら童顔の円空スマイルに癒やされる。円空初期の作品。
 円空、木喰の秀作(なにをもって「秀作」とするかの基準は必要だが)はいつ国宝や重文になるのだろうかと日頃の考えが浮かぶ。そして、はじめて日本の仏像彫刻についての過去の因習が見直され、パラダイムが変わると確信する。江戸時代はすでに十分に歴史的な年代となり、美の基準もまた変遷する。これほど、海外からもユニバーサルに愛される仏さまを、日本のアカデミズムの「専門家」といわれる人たちが正当に評価できないことがおかしいと思うのは私だけではないだろう。


http://michinoku2015.jp/smartphone/highlight_works06.html

みちのくの仏像 福島・勝常寺 月光菩薩立像

みちのくの仏像 福島・勝常寺 月光菩薩立像2

 本展での美形、ご尊顔の美しさでは、福島・勝常寺の月光菩薩立像(薬師如来坐像および両脇侍立像のうち 国宝3軀 平安時代・9世紀)も見どころである。本尊薬師如来坐像が男性的な面差しであるのに対して、両脇侍はいかにも柔らかな表情、豊満な肉付きともに強く女性を表象している。お顔のアップの良い画像がないのが残念だが、若く清楚な女性を連想させながら、妖しい雰囲気がない。見飽きぬヴィーナス像と思った。寺の解説では、「本尊薬師如来の脇侍である。ケヤキの一木彫で天平時代の乾漆の手法を用い、両像とも顔容体躯が豊満で、普通の弘仁仏にみる背低くの感じがなく、すらりとのびた天平様式を多分にもった端麗な容姿で中尊の作風に似ている。蓮台の文様も天平様式である。寺伝では、日光・月光両菩薩が逆で、明治36年国指定の時に現在の名称に変えられたものである」と記される。

http://www.vill.yugawa.fukushima.jp/kyouikuiinkai/bunkazai_02_chokoku.html

みちのくの仏像 伝吉祥天立像重文 1軀 平安時代・9世紀 岩手・成島毘沙門堂

 雑誌『太陽』の表紙を飾っているのが、岩手・成島毘沙門堂 伝吉祥天立像(重文 平安時代・9世紀)である。もちろん成島毘沙門堂の名称となっている大身の毘沙門像が有名だが、本像も早くから知られ実に優れたものである。完全シンメトリーに造形されたご尊顔は瞑目し、両手は前にかざして説法印に似ている。蓬髪、宝冠にあたる部分に2頭の像を配する例はほとんど知られておらず、その点でもユニークな作品。さらに、木目をみても緻密な造形感覚にあふれており、真正面から仰ぎ拝するとき、その神々しき威圧感は見るものに緊張感を与えずにはおかない(このアングルがもっとも良いと思う)。出自を含め研究課題も多く、プロ好みの名品という気がする。

http://blogs.yahoo.co.jp/susumu_shiba/26333128.html

みちのくの仏像  黒石寺 薬師2

さて、有難いことに東北の仏像については、素晴らしい画像を集めた以下が参考になる。こうした共有財産に心から感謝したい。

http://www.tcanet.co.jp/gallery/photographer/onomiki/200910/200910.html

関連ブログには画像を中心に添付しました。こちらもあわせてご覧下さい。

http://blog.livedoor.jp/shokkou/archives/2083682.html

◆東北の魂、鎮める重文も…特別展「みちのくの仏像」の記事(読売新聞記事も参照)
http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20150114-OYT8T50154.html

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