大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

インドから日本へ 玉虫厨子

玉虫厨子2
玉虫厨子 捨身飼虎図
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%89%E8%99%AB%E5%8E%A8%E5%AD%90

はじめて、玉虫厨子を見たときに、その歴史的、文化的な意義については、解説の文章を読んでもいまひとつ得心できなかった。しかし、インド関係の書物に多少とも親しむと、この玉虫厨子の価値がいかに大きいかに思いがいたる。

仏像がいまだない時代(ざっと2000年前くらい)だが、釈迦の偉大さをどう表現すべきかに当時のインドの人々は悩んだ。なぜならば、釈迦は実在の人物でその生涯の足跡は限られているからだ。しかし、本生譚と呼ばれる前世の物語は、自由に描くことができる。ファンタジーであれば、いかようにも羽ばたける。

『ジャータカ』(skt及びPl:Jātaka、漢訳音写:闍陀迦、闍多伽など)は、その意味で必要であった。このいわば厖大な「ファンタジー集」は、インドにおいてすでに大部の蓄積があった。そこから、捨身飼虎(しゃしんしこ)や施身聞偈(せしんもんげ)といった庶民を感激させるストーリーが選択される。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%AB

玉虫厨子の前で、仏像彫刻や建築目当てできた観察者の戸惑いは、なぜ虎に食われる王子は、こんな格好をしているのかという点ではないか。インドの古い説話→仏教への応用→釈迦の偉大さをファンタジー(前世)で補完すること→諸国への伝播(ストーリーの斬新さゆえ)→中国での翻案(画像化)→日本への伝播、そして玉虫厨子への結実。インドの王子がここに描かれ、インドの卓抜な物語がここに息づいているのである。インド人の想像力と伝播力、凄い。

(参考)
http://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/SK/0018/SK00180R087.pdf

◆田中豊蔵と上野直昭
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-188.html

◆聖徳太子本7:聖徳太子と玉虫厨子―現代に問う飛鳥仏教 石田 尚豊 (著)
http://yamatokoji.blog116.fc2.com/blog-entry-77.html

玉虫厨子
玉虫厨子 全体像

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