平和の燈明 オバマ大統領、広島訪問について
【平和の灯】
オバマ大統領が広島を訪問し、歴史的な演説を行った。そのバックには広島平和公園の平和の灯が映っていた。不滅の法灯ともいうべきものである。この元火のひとつは、安芸の宮島の弥山「消えずの霊火」から運ばれたものである。
【消えずの霊火】
その「消えずの霊火」とは、大同元年(806年)、空海が宮島で修行をした時に焚かれた護摩の火が現在まで昼夜燃え続け、元火の絶えない霊火といわれ、山頂の「不消霊火堂」にある(もっとも空海が宮島を訪れたという事実はないらしいが)。
その伝説のルーツは、高野山金剛峯寺である。ここには「燈籠堂」がある。"貧女の一燈、長者の万燈"と言われ、「自らの髪を売って父母の菩提のために燈明を献じた貧女の小さな燈火も長者の盛大な燈火も等し」いものとされる。
燈籠堂は空海の弟子だった真然により建立され、治安3年(1023年)に藤原道長によって現在にほぼ近いかたちで完成。堂の正面にある二つの火は「消えずの火」と呼ばれ、1000年近く燃え続けているとされる(http://kukai2011.jp/construction.htmlから一部引用)。これに基づいて、安芸の宮島の弥山「消えずの霊火」も後世考案されたものであろう。
【護摩について】
オバマ大統領の演説の力点は、核兵器の廃絶を謳ったところに置かれていた。空海が構想した密教には火をつかった「護摩」という勤行がある。
護摩には2つの種類がある。第1は「外護摩」であり、 護摩壇に火を点じ、火中に供物を投じ、ついで護摩木を投じて祈願するもの、第2は「内護摩」であり、 自分自身を壇にみたて、仏の智慧の火で自分の心の中にある煩悩や業に火をつけ焼き払うものと言われる。
さらに、護摩は「目的別」に5つの種類がある。
1.息災法:災害のないことを祈るもので、旱魃、強風、洪水、地震、火事をはじめ、個人的な苦難、煩悩も対象
2.増益法(そうやくほう):単に災害を除くだけではなく、積極的に幸福を倍増させる。福徳繁栄を目的とする修法。長寿延命、縁結びもその対象
3.調伏法(ちょうぶくほう):怨敵、魔障を除去する修法。悪行をおさえることが目的
4.敬愛法:調伏とは逆に、他を敬い愛する平和円満を祈る法
5.鉤召法(こうちょうほう):諸尊・善神・自分の愛する者を召し集めるための修法
(以上、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%B7%E6%91%A9 から一部引用)
もしもいまも高野山にて生き続けているとされる空海に、オバマ大統領の広島訪問について尋ねたら、それは、「内護摩」における「敬愛法」に通じるものであり、核戦争による「調伏法」を断じて否定するもの、とのご託宣があるかも知れない。