大和古仏探訪

京阪神を中心に内外の古仏についていろいろと書いてみたいと思います。

なぜ夢殿は八角形かー数にこだわる日本史の謎

夢殿

[著者:宮崎興二、出版社:(株) 祥伝社]1995年
(目次)
七五三が行く―七夕には何を祈るか
一字金輪を見る―大日如来の力はどこに宿るか
二世尊に聞く―天円地方は誰が造ったか
八角堂に入る―聖徳太子はなぜ「八」に囲まれているか
六地蔵を照らす―平清盛はなぜ「六」にこだわったのか
四天王が暴れる―四谷怪談はなぜ怖いか
五重塔を見おろす―清明桔梗はどこに咲くか
三途の川を越える―空海と最澄はなぜ仲が悪かったのか
十万億土を征服する―百人一首には何が隠されているか
十一面観音がのぞく―観音菩薩にはなぜ怪物が多いか
十二支を捕まえる―宝珠はどこから来たか
十三仏と会う―源氏香はどのように決められたか
九輪に登る―極楽への入口はどこにあるか

 面白い本。奈良法隆寺夢殿、京都広隆寺桂宮院、兵庫斑鳩寺太子堂など聖徳太子ゆかりの御堂はいずれも八角堂であること。一方、法隆寺五重塔はなぜ5層なのか。京都太秦の木嶋神社には三角鳥居があるが、渡来人秦氏は3という数字に重きをおきこれを考案したとか・・・。
 しかし、それ以上に面白いのは、筆者の別の著作もあるプラトンとアリストテレスの数の関係。プラトニズムは5を尊重するが、これは独創性を表し、一方、アリストテレスは3という数字を大切にするが、これは融和を表しているという説はユニーク。日本では空海が前者、最澄が後者に分類される。
 このほか目次にあるとおり、さまざまな数と日本文化との関係が語られるが、実によく調べている。大胆不敵な推論も多いが、とにかく数に関するディテールの積み上げがすごく、これぞ「学者」でないと書けない本とも言える。

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